レビュー

【レビュー】『METAL GEAR SURVIVE(メタルギア サヴァイヴ)』は結局のところ面白いのか

投稿日:2018年3月8日 更新日:


発表された瞬間からすでに評判が悪い問題作となった『METAL GEAR SURVIVE(メタルギア サヴァイヴ)』が満を持してリリース!
『METAL GEAR SOLID:Phantom Pain』のシステムやマップなどを利用して新たにスピンオフタイトルにしてしまおうというこの企画は、往年のメタルギアファンからは総スカンを食らい、発売されてもいないのにバッシングの的に。
「メタルギア」のシステムとグラフィックに、サバイバル要素と、Co-opのディフェンス要素を合わせた『METAL GEAR SURVIVE』。
その真価はいかに!

どこまで『メタルギア』なのか


一言でいえば「一切関係なし」。
「メタルギア」ファンとしては「アンタ!メタルギアのなんなのさ!」と思うところですが、本作はメタルギアシリーズのスピンオフ作品であり、続編ではありません。
始まりは、『METAL GEAR SOLID:GROUND ZEROES』のラストシーン、XOFによるマザーベース襲撃後から始まりますが、過去のシリーズに登場したキャラクター達も冒頭にちらっと登場するだけで本編には全く登場しません。

とはいえ、そもそも『METAL GEAR SURVIVE』に「メタルギア」らしさを求めているわけではないので、個人的にはそれほど問題なく受け入れることができました。

異世界『ディーテ』でのサバイバル

「ワンダラー」は視覚、聴覚がかなり鋭くかなり離れていても聞きつけてくる。

「ワンダラー」は視覚、聴覚がかなり鋭くかなり離れていても聞きつけてくる。

舞台となるのは『ディーテ』と呼ばれる異世界。
ワームホールによってさまざまな世界から吸い込まれた人や物が集まり、異形の生物「ワンダラー」が徘徊する場所です。
サバイバルアクションゲームとして見ると、一つ一つの要素をきちんと生かした作りになっていて「サバイバル感」のある難易度の高いゲームに仕上がっています。
死ぬとゲームオーバーとなり、前回拠点にいたところまで戻されてしまうため、時間をかけた探索がすべて水の泡になってしまうことも。
拾ったアイテムくらい回収させてほしい!とも思いますが、デスペナルティによって緊張感が増しています。
自分の状態をチェックしながら、目の前にアイテムやコンテナがあっても、いったん保留して帰還を優先するといった判断も必要になってきます。

「渇き」と「飢え」

空腹や渇きが減るスピードは速いので、常に準備が必要。

空腹や渇きが減るスピードは速いので、常に準備が必要。

「渇き」と「飢え」の概念は、ライフとスタミナに直結していて、下がると死活問題に。
しかし、ほとんど食料が見つけられないので、数少ない動物を探して危険な荒野を彷徨い歩かねばなりません。

様々なスタイルでのバトル

近接武器には、「槍」や「ツーハンドウエポン」など4つの種類があり、それぞれ特徴も異なる。

近接武器には、「槍」や「ツーハンドウエポン」など4つの種類があり、それぞれ特徴も異なる。

敵である「ワンダラー」はゾンビのような存在で、見つかると周囲の敵に伝播してまとめて襲い掛かってきます。
戦闘は、武器を使って敵をなぎ倒していったり、ひっそりと背後から近づき敵を倒していくこともできます。近接武器の扱いにはかなりクセがあり慣れるまで難しいですが、巨大なヘビーウエポンで敵の塊をまとめて吹き飛ばすのは爽快。
また、メタルギアシリーズお馴染みのステルスも健在で、「しゃがみ」や「ほふく」で足音を消し、敵の視界を避けて遮蔽物の陰などを移動したり、石を投げて気をそらしたりしながら進んでいくのは緊張感があります。
大量の敵に対しては、障害物やグレネードなどのガジェットを駆使して敵をコントロールしながらの戦闘も可能で、プレイヤーのスタイルに応じて様々な戦闘を楽しむことができます。

さらに「ワンダラー」にも様々な種類がおり、ゲームの進行に合わせて凶悪なタイプの敵が次々と出現。
安易に切りかかったり、同じ攻略法ばかりで挑むと思わぬ事態になったりすることも。

背後からのステルスキル。

背後からのステルスキル。

「塵」

「塵」の外、クリアエリアからの眺め。

「塵」の外、クリアエリアからの眺め。

ディーテ世界には「塵」に覆われたエリアがほとんどを占めており、酸素ボンベが無ければあっと言う間に死に至る危険な空間。
『塵』の中では、飢えや渇きに加えて「酸素」にも気を配る必要があり、『塵』の中で長く活動するのは難しくなっています。
それに加えて、視界が悪く遠くまで見渡すことができず、マップに自分の位置も表示されなくなり、マーカーも途切れてしまいます。『塵』に入る前の方向感覚と、拠点などにあるライトを頼りに進まなければなりません。
スタミナの消費も倍増し、長く走ることができないので、敵にもさらに注意する必要があります。

「探索」して命をつなげ!

マップには実際に探索した場所のみ反映される。

マップには実際に探索した場所のみ反映される。

探索してベースキャンプに戻ることでマップが反映され、探索した場所がマップに表示されるようになっていきます。未踏破のエリアでは、マーカーが機能しなくなり、マップにマーカーをセットすることもできなくなります。
マップでの移動は基本徒歩ですが、ショートカットが可能な転送装置があり、解放することで使用可能になります。
また隠された「コンテナ」からクラフトレシピを入手することできます。

コンテナの開錠にもリスクが伴う。

コンテナの開錠にもリスクが伴う。

「弓」の心強さ!矢も回収可能。

「弓」の心強さ!矢も回収可能。

クラフト

武器やガジェットなど、様々なものがクラフト可能。

武器やガジェットなど、様々なものがクラフト可能。

クラフトできるのは、武器だけでなく、防具や火炎瓶などのアイテム、薬、防衛設備など様々。
戦闘がなかなかシビアなので、ひとつ新しいアイテムがクラフトできるようになるだけで格段に楽になっていくので、早く新しいクラフトレシピを見つけたくなります。
また装備は使っているうちに耐久度が減り修理しないと性能が落ちていったり、カスタマイズで強化することで、性能をアップさせたりすることもできます。修理や強化にも材料が必要になるので、常に素材を確保しておく必要があります。

クバンエナジーでキャラクターを強化!

レベルアップごとにスキルポイントを得られ、スキルを取得できる。

レベルアップごとにスキルポイントを得られ、スキルを取得できる。

敵を倒すことで得られる『クバンエナジー』は、クラフトや補給、能力アップなどあらゆる場面で必要になる資源。普通に武器で倒すよりも、バックスタブで倒し、フルトン回収したほうが多くのクバンエナジーを獲得できます。

仲間を集めて『拠点づくり』

拠点が安定すればようやく食料難から解放される!

拠点が安定すればようやく食料難から解放される!

メタルギアシリーズでもおなじみのシステムである『拠点』は本作でも健在。
拠点では、様々な設備を設置することで、武器などのクラフトや、料理を行うことができます。
ゲームの進行に合わせて様々な設備やシステムが追加されていき、食料や水、医療品を補充してくれたり、探索チームを派遣して素材を収集したりできるようになっていきます。

人員を救助して仲間を増やそう

救助対象は酸素マスクをつけていないため、どんどんライフが減っていく。迅速な救助が必要。

救助対象は酸素マスクをつけていないため、どんどんライフが減っていく。迅速な救助が必要。

突発的に発生する「救助要請」のサブミッションで、人員を拠点に連れ帰ることで仲間にすることができます。
仲間にしたメンバーは『拠点開発』や『探索』といった部署に配属することで、拠点活動の効果を上げることができます。

押し寄せる敵を食い止める『防衛ミッション』

「防衛ミッション」にはフェンスや武器、弾薬などの準備が必須。

「防衛ミッション」にはフェンスや武器、弾薬などの準備が必須。

ゲームを進めていくと、拠点などを守る『防衛ミッション』が発生します。
「フェンス」や「タレット」、「罠」などもアイテムとして持っていけるので、それらを自由に設置して敵の襲来に備えます。
「フェンス」は網越しに撃ったり、槍で突いたり、燃やすなど守りながら攻撃もできる便利な壁。
持っていけるスロットは最大4つなので、どれを持っていくか悩ましいところですが、防衛設備がそろってくると、様々な組み合わせを試せるようになっていきます。

『Co-opミッション』で仲間とともに防衛ミッション!

仲間と協力してSランクを目指そう

仲間と協力してSランクを目指そう

『METAL GEAR SURVIVE』の目玉の一つである『Co-op』ミッションは、防衛ミッションを最大4人でプレイできます。
迫りくる敵の集団から「採掘装置」を防衛しながら、ウェーブの間に回復したり、フェンスやバリケードなどの防衛設備を設置していきます。

しかし、ただ防衛するだけではスコアを伸ばすことができません。
ウェーブ中でも突発的に発生する、サイドミッションでの報酬や、探索すると落ちているイリスエナジーを拾うことで、追加のイリスエナジーを得ることができます。

さらに、「敵を倒す」「サブミッションをクリアする」「素材を拾う」などの各行動に応じて「個人スコア」が加算されていき、チーム内でのスコア順位に応じて追加の報酬素材と「クバンエナジー」を得ることができます。

『Co-opミッション』中に入手した素材は、そのままシングルプレイでも利用することができるので、手に入りづらい素材や、弾薬などで大量に消耗してしまう素材などを一気に入手することもできます。
レベル差などで、戦闘で活躍できなくても、設備を設置したり、サイドミッションをこなしたり、イリアエナジーを集めたりと、やれることが多くあるので、気軽に参加できます。

課金要素

『METAL GEAR SURVIVE』では、ゲーム内通貨『SV』を追加で購入することで、プレイ中、獲得できるクバンエナジーを増やしたり、キャラクターのセーブスロットを解放したりできるようになっています。
今のところ、課金しないとどうしようもないということではないので、おまけ程度ではありますが、セーブスロットくらいは無課金でも開放してほしかったですね。

【まとめ】調整不足もあるが楽しめる内容にはなっている

『METAL GEAR SURVIVE』は実際プレイしてみれば、楽しい面も多いタイトル。
そもそも元が良くできているわけで、システム的にもグラフィック的にも安定感のあるプレイが楽しめます。
緊張感のあるシングルプレイと、これまでのディフェンスものとはちょっと変わったCo-opモードも忙しくて楽しいです。
本編とはほとんど関係がないものの「小島監督の手が入っていないメタルギアなんて見るのもイヤ!」というメタルギアシリーズのコアなファン以外は十分楽しめる内容ではないでしょうか。

ただ、シングルプレイとオンラインCo-opを両方プレイすることで、双方に恩恵があるという構造は面白いですが、現状まだやや調整不足感も。
サバイバル系ゲームらしくメインストーリーが終わってからが本番という流れかと思っていたら、急速にやることが無くなり作業感が出てくるのも気になります。

これからの「メタルギア」コナミの回答

『METAL GEAR SURVIVE』はコナミがメタルギアを今後どうしていくのかという「意思表明」として見ると、これまでの「お金をかけてでもいいものを」という小島監督の方針とは異なり「コストを抑えてそれなりのものを」という方向にかじを切ったということになります。
まあそもそもそういう企画ではあるので、わかっていた事ではありますが、プレイすればするほど「もう我々の愛したメタルギアは帰ってこないのだな」という思いが湧いてきて悲しくなりました。

全体的に見れば良く出来たタイトルではありますが、結局「MGS:PP」の焼き増しであることは確かで、ゾンビサバイバルもディフェンスもすでに新鮮味のないジャンル。
シングルプレイでの探索や拠点開発や防衛まですべてまとめてマルチプレイでできるとか、既存のジャンルを進化させたようなものを期待していましたが、予想の範疇を超えるものではなく、もうちょっと本作独自の新しいアイデアが欲しかったなと思いました。
「ストーリーではなく遊びに特化したメタルギア」という試みは理解できるものの、ここまでやるのであれば、追加DLCみたいなものではなく、いっそ小島監督の手を離れた『コナミの新生メタルギア』としてもっと気合が入ったものを見せてほしかったですね。


最初は絶対ダメだろこれって思ったけど、思ってたよりも楽しいよね。
とはいえ、続編つくるのは多分もう無理そうだしメタルギアはいよいよもうお別れかもね。
敬礼!さようならメタルギア!
敬礼!ありがとうメタルギア!

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