ウィザードリィライクな3DダンジョンRPG「世界樹の迷宮」シリーズと、ローグライクRPGである「不思議のダンジョン」のシステムを融合したのが「世界樹と不思議のダンジョン2」。
聞いただけで面白さがわかってしまうこのタイトルの二作目が遂に発売されました。
より洗練され、さらに新要素も追加されたやりごたえ抜群のタイトルです。
「風来のシレン」シリーズや「ポケモン不思議のダンジョン」などで生まれた新システムを踏襲していて「不思議のダンジョン」としても面白く、「世界樹の迷宮」らしさも一切損なわれない、両作品の魅力が凝縮されたゲームに仕上がっています。
このページの目次
”世界樹の迷宮”と”不思議のダンジョン”
「世界樹と不思議のダンジョン2」レビューの前に「世界樹の迷宮」シリーズと「不思議のダンジョン」シリーズについておさらい。
「世界樹の迷宮」シリーズ
迷路のようなダンジョンにパーティを組んで挑むウィザードリィリスペクトな3Dダンジョン探索RPG。ウィザードリィライクなキャラメイクや、DSの利点を生かして下画面でダンジョンの地図を書きながら進むという往年のスタイルにぐっと来た人も多いはず。
可愛いキャラクターと、シビアな難易度で多くのRPGファンをうならせました。
「不思議のダンジョン」シリーズ
ドラゴンクエスト4のキャラクター「トルネコの不思議のダンジョン」を皮切りに、誰もが知る代表作「風来のシレン」シリーズ、他にも「ポケモン不思議なダンジョン」など様々な世界観で発売され、ローグライクRPGの一つの形として定着しました。
入るたびにマップが変わる「不思議のダンジョン」では、入るたびにレベルがリセットされ、死ぬと手に入れたアイテムもすべて失ってしまうというシビアな難易度。
自分が一つ行動するとフロアにいる敵も一つ行動するというルールで、追い詰められた状況で、一手一手を熟考するシチュエーションにハラハラしながらも胸が熱くなりました。
持ち味を100%生かす完璧な融合
システムや世界観を合体させたタイトルなだけに「どうせ両作品からそれっぽくピックアップしてあるだけなんでしょ」と思っていましたが、本作はあまりにも「世界樹の迷宮」であって、プレイし始めればもともとこういうゲームだったんじゃないかと思えてしまうほどしっくりきます。
基本的な部分は、ほぼ「世界樹の迷宮」準拠で作られていて、最初の流れもほとんどそのまま。シリーズをプレイしたことがある人なら、見たことのあるインターフェースにすんなりプレイできてしまうと思います。
「冒険者ギルド」でギルドを作り、メンバーを登録し、パーティを組んで、「酒場」にいってクエストを受け、「工房」で装備を調達して、ダンジョンに挑みます。
洗練され最適化されたUI
「不思議のダンジョン」は日本においてローグライクの代名詞と言っても過言ではないほど定着したジャンルで、様々なキャラクターや設定の下、多くの作品が発表されてきました。
さらに今回は2作目ということもあって「世界樹の迷宮」のシステムと融合することで要素は増え複雑化していますが、メニューを開かなくてもスキルが使える”ショートカット機能”なども充実し、快適にプレイできるような仕様が随所に見られます。
また、多くのキャラクターを登録することになりますが、パーティに入れていないキャラクターにも経験値が入るようになっているので、レベル上げなどの作業などはほとんど必要ありません。
細かいところに気が配られていて、プレイ中何度も”わかってるな!”と感じさせられます。
キャラメイク
選ぶことのできるクラスは、なんと15種類。
それぞれ、性別を選ぶことができ、デザインもそれぞれ4つの中から選ぶことができます。
前作のクラスに加えて、「ケンカク」「アルケミスト」「モンク」「ファーマー」「パイレーツ」の5つのクラスが追加されました。
スキルツリー
スキルツリーも「世界樹の迷宮」そのまま。
ジャンルの違うタイトルなのでゲームに合わせて変わっているかなと思いましたが、昔DSでプレイしたままのツリー構成になっていました。
クラスごとに最低2つは異なるスタイルを選べるようになっていて、例えば、ファイターでも攻撃力特化スタイルか、盾持ちで敵の弱体化も狙える防御スタイルのように、ツリーの成長次第で全く違う能力のキャラクターにすることができます。
「休養」をすればスキルリセットも可能なので、気兼ねせず色々なスタイルを試すことができます。
ブラストスキル
クラスごとのスキルとは別に、強力な”ブラストスキル”が存在します。
ブラストスキルは行動するたびに溜まっていくゲージを消費して発動するスキルで、TPの消費無しで体力を回復したり、基本自動で動く味方を一手ずつ操作できるようにするものなど、ここぞというときの必殺技のような存在です。
また、酒場のクエストをクリアすることで各クラス専用の強力なブラストスキルが解放されます。
サブクラス
前作にはなかった新要素で、さらにもう一つクラスをつけることができます。
サブクラスをつけると、そのクラスの装備が使えるようになるほか、スキルツリーが解放され、もちろんすべてスキルを習得することができます。
”パラディン”+”モンク”で盾カウンターとか、”ダンサー”+”ケンカク”の連続攻撃剣士など、夢が広がります。
サブクラスもリセット可能なので、色々な組み合わせを試してみたいですね。
工房
おなじみの”工房”では、持ち帰った素材で武器を作ります。
不思議のダンジョンシリーズですが、装備しているアイテムはロストしない安心設計。シリーズおなじみの巻物での強化も可能で最大+50まで強化できます。
本作ではさらに武器に特性をつけることができ、ステータスや命中率などの能力を補正したり、状態異常効果をつけるなどカスタマイズ可能です。
採集ポイント
ダンジョンの中にある素材を入手できるポイントもちゃんと登場します。
スキルツリーの中に、「伐採」「採集」といったスキルがあり、スキルを持っているキャラクターが踏めばたくさん入手することが可能です。
新しく追加されたクラス「ファーマー」は、すべての採集スキルを覚えることができるので重宝しそう。
アリの巣構造
本作ではダンジョンが「アリの巣構造」になりました。
フロアの内容そのものはリセットされるので、プレイ感覚としては従来通りですが、フロアの中に複数の階段があり、途中でどちらの方向に降りるのかを選択することができます。
行き止まりになっていたり、中には”宝箱フロア”や”モンスターフロア”など特殊なフロアもあり、どちらのルートから進むのかを考えながら進むことができます。
砦
新システムである「砦」は、建設することでダンジョンのアリの巣構造を固定することができます。
また、建設した砦は街からのショートカットとして機能するので、非常にプレイしやすくなっています。
砦の建設はお金を払うだけと非常に簡単。ダンジョンに入ったらとりあえず砦を作っておきたいところです。
砦にも種類があり、アリの巣構造が先まで見渡せるようになる「探索砦」や砦内での戦闘を補助する「攻撃砦」などがあり、うまく使いこなすことでより安全にダンジョン探索を行うことができます。
また、建設した砦にはギルドメンバーからキャラクターを派遣することができ、派遣中のキャラクターは経験値を多く得ることができます。
D.O.E
世界樹の迷宮ではおなじみのフロアの中を歩いている超強力なモンスター「F.O.E」が、今回は”Field of Enemy”ならぬ”Dungeon of Enemy”「D.O.E」として登場。
プレイヤーは階段を行き来すると、「D.O.E」も合わせて移動し、各フロアを渡り歩いています。
前作では、倒さずにダンジョンから出ると町の施設が破壊されてしまうというものがありましたが、今回は設置した「砦」を破壊してしまいます。また「お宝フロア」などボーナスフロアも破壊してしまうので、出来れば止めたいところです。
「D.O.E」は、ただでさえ強力ですが、通常ではダメージが与えられません。
2つ以上の状態異常にかかっているときのみダメージを与えられるので、「D.O.E」討伐の際は状態異常を与えられるスキルやアイテムを用意する必要があります。
しかし、初見で絶対戦ってはいけないような敵ではなく、ある程度条件が整ってさえいれば倒すことも難しくないので、そこまで恐れすぎる必要はありません。
ちゃんと「不思議のダンジョン」してるのか?
色々新しい要素が追加されていくのは良いんですが、それで結局ゲームとしてほんとに成り立つの?というのが最初の疑問でした。
とにかくできることが少なく、レベルやアイテムも毎回リセットされるなか、ギリギリの選択肢を探ったり作り出したりしていくのが「不思議のダンジョン」の醍醐味。
人数が4倍になり、アイテムもレベルも消えないうえにスキルまであって、しかも空腹ゲージも4人分、ダンジョンに行くのも戻るのも簡単だなんて、いくらなんでもぬる過ぎるんじゃないの?と思わずにはいられないでしょう。
しかし「世界樹と不思議のダンジョン2」はこれが”ちゃんと”難しい!
一定階層以上になると敵が強くなっていき、同じ敵でもダメージは通りにくく、受けるダメージは増大します。
こちらの範囲攻撃が部屋全体になっているように、敵の攻撃も部屋全体に効果があるので、部屋への入り方が悪いとそれだけで容赦のない攻撃にさらされ、あっという間にやられてしまうことも。
進むにつれ状態異常攻撃のオンパレードで、ジャンプ攻撃や貫通攻撃などトリッキーな動きをしてくるものもあらわれ、スキルを駆使しないとなかなか倒せないような敵が出てきます。
何事も調整次第で何とかなるもんだなあと感心しました。
さらに本編クリア後には、レベルリセット、アイテム持ち込み禁止、帰還不能、未鑑定アイテム出現の高難易度ダンジョンが出現!それまでとは全く違うゲームプレイが楽しめます。
ローグライク好きも間違いなく満足できる作品になっています。
最近ではスマートフォンで手軽にゲームができるようになり、画質も劣る3DSなどの携帯機でわざわざゲームを買わなくてもと思ってしまうところもあります。
しかし、プレイすればこれがスマートフォンにはできない、コンシューマならではの体験だと理解できるはずです。
と言うわけで「世界樹と不思議のダンジョン2」は間違いなくお勧めできるタイトル。
「世界樹の迷宮」や「不思議のダンジョン」のファンもそうでない人も是非一度プレイしてみては。