PS4専用アクションゲーム、『Marvel’s Spider-Man(マーベル スパイダーマン)』が発売3日間での世界販売本数330万本で新記録を樹立したというニュースが流れました。
既に発売から1か月というタイミングですが、発売直後からクオリティの高さが話題となり、SNSにもゲーム動画や画像が(ネタ的なものも含め)沢山アップされて話題になっています。
ツイッターでおもしろ画像を見かけて気になっているとか、興味はあるけどまだ買ってないというひと向けに、レビューをしていきたいと思います。
このページの目次
「スパイダーマン」って…?
まず、『スパイダーマン』という題材については、あえて詳しくは説明しません。
放射能グモに噛まれて蜘蛛超人になったスパイダーマン、スーツやガジェットを自作する庶民派ヒーローってことは、もうみんな知ってますよね?
それに、スパイダーマンの物語世界は様々なシリーズによって”並行世界”が無数にあって、既に作られている映画シリーズも、それぞれで設定の違ったものが沢山作られていていますが、それぞれがスパイダーマンとして受け入れられていますので、とても説明しきれません。最近の映画ではアイアンマンにお世話になってるスパイダーマンもいましたし、次に公開予定のアニメ映画に至っては、並行世界のいろいろなスパイダーマンが一つの場所に終結する話だったりしますからね。
一つだけ説明しておくと、このゲームはすでにスパイダーマンの活躍でスーパーヴィラン(敵超人)たちが刑務所に送り込まれた後の話であり、高校生だったピーター・パーカーは卒業して仕事をしているという設定です。
といっても、なんとなく雰囲気だけを追いかけても話がわかりやすいように作られていますし、原作などのマニアックなスパイダーマンの知識がなくても、このゲーム世界での人物関係などはストーリーの中でキャラクターが説明してくれるため、初心者でも十分にゲームを楽しむことができるはずです。
一方でマニアにも納得の小ネタも沢山盛り込まれているので、そういう部分が気になる人は世界中にいるもっと詳しい人たちのレビューを読んで掘り下げてみてください。
ゲーム内でも、いろいろなシリーズで見かけたスーツやガジェットがこれでもかと盛り込まれています。
『Marvel’s Spider-Man』おすすめポイント
基本的なゲームの進行はいわゆるオープンワールド系アクションゲームの王道という感じです。
まずは大きなメインストーリーがあり、同時進行で大量のサブクエスト、突発的なギャングとのバトル、誘拐や暴走車などの事件、チェックポイントを巡って地図を広げたり、マップ上のアイテム集めなどを進めていくと、徐々に自身の装備やスキルが解放されてスパイダーマンが強くなっていく流れになっています。
オープンワールドゲームに慣れている人には、いまさら説明するまでもないことばかりですよね。言ってみればその点で特に目新しい要素はありませんが、これがそろっていればとりあえず飽きずにゲームできるよ、という感じです。
街のサブイベントなどについては、チェックポイント巡りではあるものの、その先々で登場人物とのセリフのやり取りがあったり、スパイダーマンが毎回独り言を言ってくれたりするので、わりと飽きずに延々とプレイしていられます。
このゲームはスパイダーマンの独り言がとにかく多くて、それがゲーム性とキャラクター性を両立しているあたりも、わかってる感があってうれしいです。日本語吹き替えの声優(興津和幸さん)もいい仕事をしています。
ゲームの舞台は現代なので、SNSがあってスマホがあって、市民の評判がネットで見れるような時代として描かれています。
ロード画面中にスパイダーマンが地下鉄に乗ってスマホいじってるシーンがあったりして、こういう「現実の世界に実在するスパイダーマン感」は個人的にとても楽しいポイントです。
超綺麗なグラフィック
このゲームのすごさは何といってもまず超綺麗なグラフィック。
「完全に」と言っていいほど、舞台であるニューヨークのマンハッタンを再現しており、そのクオリティはかなりの高レベルです。最近はオープンワールド系ゲームのリアルなCG表現がかなり進んでいるので、このくらいは標準レベルかなぁ、なんて思ってしまうところが、慣れというのは恐ろしいですが……。
スパイダーマンの見せ場といえば摩天楼を縦横無尽に飛び回るアクションシーンですが、無数の高層ビルのデザインにも手を抜かず、一つ一つの窓の奥には室内の風景まで描写されているのには驚きます。
気候や時間帯変化によって、風景の印象もリアルに変化し、街中を自動車や市民が行き来し、まさにリアルな現代の都市がゲームの世界に存在することが、このゲームの面白さを支えています。
ニューヨークの街並みといえば無数の広告や巨大な看板が所狭しと並んでいますが、その広告や道路を走る自動車のデザインはオリジナルで作られていて、それがちゃんと一つ一つ違和感なくデザインされているところがまた驚きです。
誰も見たことのないファンタジーやSFの世界を描くにはもちろん高い技術やセンスが必要ですが、私たちが普段見慣れている現実の世界をリアルに感じさせる事もまた非常に難しく大変な作業なのです。
一方で登場人物は、肌や服などかなりリアルな質感を描き込みつつ、顔の造形などはどこかコミック風というか、シリアスになりすぎない絶妙なラインでデザインのバランスがとられています。
単にリアルなだけではなく、コミカルな部分も含めた表現に優れたCG技術を感じさせます。
スムーズでシンプル操作な移動アクション
スパイダーマンのゲームで期待されるのは、やはりウェブスイングでビルの谷間を飛び回るアクションですが、これが非常によくできています。
まずなにより、ウェブスイングアクションを現実の立体空間でやるとこうなるんだな、と感じられるのが良いですね。
スイングの際にきちんとビル等を支点にしてぶら下がっているので、高いビルがない開けた場所では自在には空中移動ができないという点も、なんだかリアリティがあります。
ゲーム動画などで見ていると複雑な動きをしていて難しそうですが、実は非常に簡単に爽快なアクションが楽しめます。
操作に慣れていなくてもR2ボタンを押しながら、スティックを動かすだけでなんとなく上手に飛び回ってくれるので、とにかく気持ちの良いスーパーアクションが体験できます。
またスーパーヒーローらしく、高いところから落ちて地面やビルの壁に激突しても、まったくダメージは受けません。
移動についてのストレスがかなり少ないため、とにかくずっと街中を飛び回っているだけで楽しいと感じさせてくれます。
それでいて、より高度な動きや操作の工夫もできるので、練習して上手になることでさらに楽しくなるという点もゲームとして素晴らしいです。
サブクエストによっては、アクションに慣れていないとクリアできないものもあり、プレイヤーの腕が試されます。
最初から操作が難しすぎるとつらいけど、ずっと簡単すぎてもつまらないというゲームバランスの難しい部分が、うまく調整されていると思います。
歯ごたえのあるバトルアクション
ストーリー進行の上で避けて通れないのが、スーパーヴィラン(敵超人)たちやギャング、犯罪者などとのバトルです。
派手なコンビネーションを実現するための操作はなかなか複雑なところもありますが、ある程度は攻撃ボタンと回避ボタンだけタイミングよく押しておけばほぼ何とかなります。
スパイダーマンにはスパイダーセンスと呼ばれる危機感知能力があり、頭の周りにビリビリっという感じのエフェクトが表示されるので、それを見て回避ボタンを押せば大抵は問題ありません。
様々なガジェット攻撃もゲームを進めていくごとに徐々に種類が増えていくので、順番に覚えていけばそれほど使いこなすのは難しくないでしょう。
ただ、ゲームの難易度はそれなりに高く設定されており、街のチンピラ相手のバトルでも、囲まれて銃で撃たれるとあっさり殺されてしまします。
防御が上手な剛腕ギャングなどもいて、自分の通常攻撃は全部ガードされ、敵のパンチは一撃で体力が1/3くらい減ったりと、なかなかに歯ごたえがあります。
街中で起こる強盗事件などに意気揚々と駆けつけたのに、あっさりチンピラに倒されるスパイダーマンの姿を何度も目撃することになってちょっと悲しい気持ちになりますが、それもまたスパイダーマンらしいともいえるのかも……。なお、突発イベントで死亡した場合、コンテニューで再挑戦することはできず、バトルが終わった状態(起こらなかった状態?)でゲーム再開することになります。
もちろん本編ストーリーでは、何度やられてもコンテニューで再挑戦すれば次第に慣れて進めるようにはなりますが、アクションゲームがまったく苦手で全然頑張れないよという人にはちょっと辛いかもしれません……。
ファンにはたまらないコスチュームチェンジ要素
クエストをクリアしていくと、他の映画やコミックなどで出てきたいろいろなコスチュームに着替えられます。
どれもなかなか質感が高く、ファンにはたまらないお楽しみ要素としてとてもよくできていると思います。
楽しいフォトモード
もう一点、フォトモードの機能がとても楽しいです。
これはゲーム中にオプションボタンで時間を止め、360度好きなところにカメラを移動させながら撮影を行う機能になっています。
最初にも書いた通り、ニューヨークの街並みが再現されたフィールドで好きなように写真が撮れるのですから、これが楽しくないはずがありません。
自撮りモードやレンズなどの細かい設定、フレームの設定などいろいろと楽しめる要素が多く、かっこいいポーズや面白写真を撮影しているだけでも時間を忘れてしまいます。
微妙なポイントもいくつか…
微妙なミニゲーム
ゲーム進行の途中にところどころ、パズル的なミニゲームが入ってくることがあるのですが、これはゲーム進行の中ではなんかちょっと退屈だなと感じてしまいます。
似たようなオープンワールドゲームではよくある要素なのですが、ほかのゲームでもあまり楽しいと感じたことがありません。
人によってはこれが楽しいというユーザーもいるんでしょうかね……。
微妙なQTE
ボス戦などのイベントムービー中に急にボタンが表示されるQTE(クイックタイムイベント:素早く押さないとアクションが失敗orやり直しになる)も、同類ゲームではよく見かける要素ですが、特に気持ち良いということもなく、なんだかちょっとストレスが溜まります。
プレイヤーに操作させたいなら普通にバトルをさせて、完全なイベントムービーは見るだけにしてくれればいいのに……と思います。
【まとめ】アクション好き、スパイダーマン好きは間違いなく買い
『Marvel’s Spider-Man』はアクションゲームが好きな人なら、とりあえずプレイしておいて決して損はないとても良い出来のゲームだと思います。
もちろんスパイダーマン好きな人はもうとっくにプレイしていると思いますが、もしまだ未プレイであれば間違いなくお勧めします。
ほかのレビューを見てみると「よくあるオープンワールド系アクションゲーム」という感じで書かれていてなんだか悪く聞こえますが、ゲームの楽しさの基本はきっちり押さえたうえで、独自の爽快なフィールドアクションと、スパイダーマン世界を描くコンセプトとがカッチリと一致している点がとにかく素晴らしいです。
スパイダーマンにはちょっとは興味あるけどシリーズが多すぎてよくわからない…、という人にもお勧めできるスパイダーマン初心者向けの作品でもありますね。